「世界観」って結局なんだったんだ

 

「世界観」という言葉を、いまでは多くの人が抵抗なく使っているが、意外と新しい言葉だと思う。この言葉が一般的に使われ始めたのは、セカオワなんかが流行ったのと同じころだったと思う。最盛期にはテレビでも使われていた。

しかしその意味は正確には理解されず、語彙力が足りない部分を「世界観」で埋めてるみたいなあいまいさがあった。クリープハイプのボーカルは、そんな風潮に反発して、芸名を「尾崎世界観」にしてたりした。

使われているうち用法が広がりまくり、指すものが共有できなくなったせいか、「エモい」とかに置き換えられる形でブームは去り、セカオワファンだったサブカル女たちもおそ松さんに移動した。

とはいえ「世界観」は、いまでもある程度市民権を得ている言葉ではある。ということで、世界観という言葉の意味の広がりについて、ちょっとまとめてみたい。

 

まず辞書的な意味としては、ウィキペディア先生によれば、世界観は「世界を全体として意味づける見方・考え方のこと」だそうだ。

 

①「キリスト教的世界観を表した絵画。」

これはおそらく、もともとの「世界観」の用法である。キリスト教では、神さまが世界と人間を作って、死後は最後の審判があって、天国と地獄があって、
…みたいなものとして、われわれが棲むこの世界を捉えている。このような、世界に対する観かたが、本来の「世界観」である。


②「セカオワには独特の世界観がある」

これはちょっと変則的な用法である。これはそのアーティストが作り上げている独特の世界、もしくは独特の雰囲気みたいなものを指している。
たぶん「価値観」とかといっしょで、「観」を「感」と間違えてこの用法が生まれたのだろう。まさしくカン違いである。

 

この言いかえは難しい。今調べたところによれば、小説を書く人の中では「世界設定」なんて言葉もあるらしい。でも、ここでいう世界観は「設定」とはちょっと違う。

この言葉は、物語に自然に内在する雰囲気には使えない。設定は、作者とか演出家が、物語の外部から、意図的にするものだからである。
フカセは自分のセンスでああいう世界を作ってるだろうから、「設定」という言葉はあまりマッチしてない気がする。

バッチリはまる言葉は思いつかないので、雰囲気とか世界とか設定とかを使い分けていくしかない。なんかあてはまる言葉があったら教えてください。

 

③「今作の物語は、前作とは違う世界観で展開される」

これはだいぶ変則的な用法である。たぶんこれは②からさらに派生したものだ。
この間「ジョーカー」の脚本が公開されたが、あるサイトでは「この物語は独自の世界観で描かれる」と和訳されており、
(従来のバットマンシリーズとは関係ない、別の時間・空間軸であるということ)もとの英文を見てみたら、
対応する単語は"universe"だった。

universeを直訳するなら「宇宙」とか「世界」だが、「違う宇宙で…」「違う世界で…」と言われても「ンン?」という感じである。
SFじみてしまうというか、物理法則とかまで違いそうである。

というわけで、言い換えは「世界線」とか「時間軸」とかであろう。
時間だけではないということであれば「時空軸」なんて言葉はどうだろう。響きもカワイイし。