南極に住む方法を考える

僕は南極がなんとなく好きである。南極大陸は、大陸の中で唯一人が定住したことがない、原始の自然が残る地だ。国家もない。つまり、ロマンなのである。

そして、どうすれば南極に住めるか考えている。現実的かどうかは措いておいて、思考実験としてはけっこうおもしろい。

といっても、南極観測隊になりたいわけではない。南極に真の意味で住むには、その場で生活を成り立たせないといけない。


まず「南極」という言葉は何を指すのだろうか。以下のようなものがある。


南極大陸
南極点を中心に広がる大陸。

南極圏
南緯66度33分以南の地域。この地域では白夜と極夜がある。

③南極点
南緯90度の点。南極大陸の真ん中へんにある。

 

ここでは、とくに断りがなければ「南極」は大陸の意味で使う。

 

 

次に、なぜ人類がいままで南極大陸に住むことができなかったか検討してみたい。

南緯56〜61度の緯線は、ぐるっと一周、どこも陸地を通っていない。そのため、海流は大陸にぶつかることなく一周し、波が荒くて速い流れとなる。この海流を「南極環流」という。この上では風も吹き荒れており、南極周辺は海水も大気も外との出入りが少ない。南極の厳しい環境は、おもにこいつのせいだ。

これに関連して、次のような環境ができている。


①低温
南極大陸の大半の地域では、真夏でも気温が0度を上回らない。ただ、服を着込むことである程度対応できるし、実際北極圏には多くの人が暮らしているので、意外と大きな問題ではないかもしれない。

②暴風
南極は風を遮る木がなく、また南極環流があるため常時暴風が吹き荒れる。地表の雪が巻き上げられ、ブリザードとなることもある。視界はきかないし、あっという間に体温を奪われてしまう。

③乾燥
氷があるのでわかりにくいが、南極は世界で一番乾燥した地域の一つである。定義上は南極大陸の大半が砂漠になり、その面積はサハラ砂漠を超えて世界最大である。

 

このほかにも、こんな要因がある。

④日照
南極の大半の地域で、冬の間は日が昇らない。これは人間にとっても、その他の生物にとっても厳しい。

⑤厚い氷
南極の氷は厚いだけでなく、少しずつ流動する。その上に定住するのは難しい。

⑥紫外線

フロンガスの放出によりオゾン層が破壊されているが、南極に近いところではとくにオゾン層が薄くなっている。日照時間が長いことも考えると、かなり危険である。

 

こういう理由により、南極大陸には植物がほぼ育たない。農業もできず、人間の食べ物がほぼ手に入らないのである。

 

では、どうすればこれらの課題を解決できるか考えてみる。


①比較的温暖な沿岸部を選ぶ
南極大陸の中でも、南極半島と呼ばれる地域は南極圏外に飛び出している。この地域は比較的気候が温暖で、氷雪気候ではなくツンドラ気候である。そのためわずかながら地衣類や植物が育つ。

②遊牧する
北極圏の先住民は、伝統的にトナカイを遊牧する生活をしてきた。トナカイは地衣類を食べるので、ツンドラでも生きられる。そして遊牧民はあまり植物質を食べなくてもよい。ビタミンや食物繊維を、乳製品などから摂れるからである。

 

ということで、ありうる方法としては、トナカイを連れて南極半島に行ってみるのがよさそうだ。トナカイは肉も乳も毛皮も余すところなく利用できるだろう。ただ、トナカイを安定して養えるくらいの地衣類が確保できるかは怪しいし、さすがのトナカイも暴風には耐えられないかもしれない。冒険心のある方はぜひどうぞ。