悪役はそれ自身でも魅力的だ。しかし、悪役の本懐は、ヒーローを輝かせることである。
悪役なきヒーローは、ただの委員長タイプである。
ふと思ったのだが、一昔前まで悪役といえば「世界征服」だった。しかし、いま世界征服を目指す悪役がいたらけっこうポカンとする。
現代では悪役はどんな動機で悪事をしているのだろう。挙げてみる。
①私利私欲
古き良き悪役。おカネ、権力、宝物などを得るために悪事を働くタイプである。上述の「世界征服」などもこれに含まれる。
自分の利益のために、他人を陥れたり利用したりしているとなおよい。保身のパターンもある。
なんといっても、わかりやすいことがメリットである。
善悪二元論は、子どもや、なんというかその、「考えるのがあまり得意でない層」にも刺さりやすい。私利私欲にまみれた悪人は現実世界にもいて、イメージしやすい。
主人公側が絶対的に善になるため感情移入しやすいのもポイント。ポケモンでいうと、1・2世代のロケット団。水戸黄門など、古典的なドラマはもっぱらこれ。
②ゆがんだ愛情・責任感
誰か・何かを守りたい、という感情がヘンにこじれて、巨悪を生み出してしまうパターン。
事件後、悪役の名誉回復が行われることも多い。
③主義主張
こんな世界を作りたい、こんなことは許せない、といった動機で行われる悪事。
主張の違いを理解しないとストーリーが入ってこないため、ややオトナ向け。
ポケモンでいうと、5世代のプラズマ団など。メジャーどころでは、ヴォルデモートやグリンデルバルド(私利私欲や恨みも該当する)。
④恨み・復讐
主人公側にも意外と多い動機。敵の動機にする場合は、復讐の内容が逆恨み的なモノでないと、視聴者の共感は得にくそう。
呪術廻戦なんかは、呪術と言うだけあってこのタイプが多い印象。
なおバンクシーによれば、復讐は「四大欲求」のひとつである。気持ちいいから、あるいは必要だからするのだ、ということか。これはけっこう的を射ているように思う。
⑤狂気・狂信
常人には理解しがたい妄想や信仰などによって悪が生み出されるパターン。
快感のために人殺しをするシリアルキラーや、「ミッドサマー」の村人など。
⑥好奇心
ただ単に何が起こるか見てみたい、というような、無邪気なイタズラの延長のノリで悪になるパターン。ユニークな悪役になるが、観客はノリづらいかも。
「バットマン」シリーズのジョーカーなど。
⑦生存
生存のための行動が悪とみなされるパターン。強大すぎる力を持っているなど、存在自体が危険とされるものが多い。
これは悪役側もかわいそうになるし説明がめんどいので、創作ではあまり使われない印象である。が、現実世界では意外と多い。
こんなもんか。他にあれば教えてください。